墓の中

やりたいことはやりたくないことをやらないこと

2020-01-01から1年間の記事一覧

久闊

ひとまず何から始めようと思ったときは、始めようと思ったきっかけから素直に始めれば、きっと過ちは少ないだろう。 出る杭は打たれる 大きな期待を抱え込むほど、裏切られたときの失望は大きい。という当たり前のこと、そして個人的な癖を性懲りもなくまた…

ことばの共同墓地

3月16日21時47分 顔を上げると、目の前にいる店員が、首を傾げながら不機嫌そうにこちらを見つめている。しまった何を訊かれたんだろう。いまさら耳栓代わりのイヤホンを外し、「あ、大丈夫です」と苦笑交じりに答える。一体何が大丈夫だったんだろう。店員…

風の記憶

鬱傾向の一番激しかったとき、風は生温くさわさわと吹いていた。ぼくは一生懸命に自転車を漕いでいた。海辺を目指して、あるいは夕焼けを目指して。自転車の上で感じる風は立ち止まっているときより幾分か涼しかった。 部屋にあんまり帰りたくなかったんだろ…

トルストイについての覚書

・表題について もとより、僕は小説の内容自体よりも小説同士の呼応や比較を興味深く思う性質だった。図々しい自己評価をするならば、そのような意味において文芸家というよりも批評家寄りと言えるのかもしれない。だから、何かを読んでいるときには、それ自…

さよならは昔日のために

別れというものはおおむね緩慢に訪れる。在りし日々を思い返すことによってはじめて、ああ私たちは既に別れていたんだ、ということを知る。そして、いつ別れがあったのかは、誰も知らない。 みずからを努めて現実世界へ投企しようとはせず、ただ受動的に生活…

あっちでこっちでにっちもさっちも

日中、下手に寝てしまわないように買い置きのコーヒーをガブガブ飲むと、その反動として、訳もわからず、いやカフェインの副作用なんだろうなと「訳」については予測はつくが、無性に心もとなくなったり、かと思うと数分後には突然意欲がふつふつと湧き出て…